【3つのポイント】
・シングルペアレントの受入れ
・介護人材の確保
・農業研修生育成事業の仕組みを流用
2015年4月、島根県浜田市が発表したある募集要項が話題を呼びました。
それが「浜田市定住促進のためのシングルペアレント介護人材育成事業」です。
募集条件は4つ。
①島根県以外に在住の高校生以下の子どもを持つシングルペアレントであること。
②浜田市が指定する介護サービス事業に就労すること。
③研修終了後も浜田市に定住する意思があること。
④65歳未満であること。
移住にあたって介護資格の取得支援はもちろんのこと、引越し金などの支度金30万円や中古自動車の無償提供、さらには1年間働いたら100万円の奨励金がある等々、補償も非常に手厚くなっていました。
また、介護の仕事となると深夜勤務も発生しますが、子どもを見てほしい親と預かる人を仲介するシステムにも浜田市は力を入れて取り組んでいます。
シングルペアレントをターゲットにした募集は日本で初めてであり、ここには過疎化対策とともに、シングルペアレントの貧困問題を同時に解決する狙いがありました。
結果として初回は募集人数に対して5倍もの応募があり、その中から6人が定住に至りました。その後もシングルペアレント支援は続き、現在は介護サービス業だけでなく、建設業、タクシー事業での就労も受け付けています。
浜田市がシングルペアレントを呼び込むための土台として、流用したのが「浜田市ふるさと農業研修生育成事業」です。
農業研修生育成事業は、市内で新たに農家を志す人に対して技術の養成をおこなう研修制度であり、すでに県外からの移住者を受け入れる姿勢ができていたことも大きな要因となりました。
すでにある制度の見方を少し変えるだけで、新しい可能性が見えることもあるかもしれませんね。
参考書籍『ふるさと革命 “消滅”に挑むリーダーたち』(片山修著 / 潮出版社)
▼浜田市公式ホームページ「シングルペアレント支援」▼