ポイント
・アニメでまちおこし
・聖地巡礼の経済効果は10年で31億円
・ネガティブな声から始まった活動
みなさんの地元に「聖地巡礼スポット」はありますか?
もともとは宗教の信者が聖地に赴く行為を意味していた「聖地巡礼」ですが、昨今では、アニメや映画などに縁の深い場所をファンが訪れることを指すようにもなりました。
一般社団法人アニメツーリズム協会が定める「聖地」はすでに80ヶ所を超え、市町村を挙げてのアニメによるまちおこしが全国で活発化しています。
聖地巡礼の火付け役として、よく引き合いに出される作品にアニメ「らき☆すた」があります。
「らき☆すた」は女子高生たちのほのぼのとした日常を描いたアニメです。放送の始まった2007年以来、アニメの舞台となった埼玉県久喜市鷲宮には国内外から多くのファンが訪れ、久喜市商工会鷲宮支所を中心にまちおこしが始まりました。
舞台の一つである鷲宮神社では、正月三が日の参拝客数が13万人から30万人に急増、地元への経済波及効果は10年間で約31億円に及ぶといいます(※埼玉新聞調べ)。
大成功を収めた久喜市鷲宮のまちおこしも、作品の力にだけ頼ったわけではありません。
久喜市商工会鷲宮支所のサイト「鷲宮におけるまちおこしの経緯」の、ファンが訪れるようになった2007年7月ごろの記録にはこのように書かれています。
隣接する久喜市在住者のホームページに「オタクの人が鷲宮神社に集まっていて治安が心配」との書き込みがある。これを見た産経新聞が鷲宮町商工会に取材。その記事がインターネットニュースに掲載される。
引用元:久喜市商工会鷲宮支所 鷲宮におけるまちおこしの経緯(http://www.wasimiya.org/history/)
記述を読む限り、まちおこしはマイナスからのスタートだったようです。
しかし、これに対して商工会議所事務局は、神社で来訪者へのヒアリングやネット掲示板での意見収集、さらには原作の出版元である角川書店に企画書を送るなど、ファンたちを否定するどころか、「らき☆すた」を積極的にまちおこしに取り入れる姿勢を見せています。
久喜市鷲宮はアニメの放送が終わってから15年以上経った今もなお、精力的に情報を発信してファンを魅了しています。
アニメによるまちおこし成功の裏には、住民たちの理解と努力がありました。
新たなムーブメントが起きた時、それをピンチと捉えるかチャンスと捉えるかで今後のまちのあり方は大きく変わるかもしれません。
▼久喜市商工会鷲宮支所 公式HP▼