2026.01.30

常識を覆す、静岡発のバーチャルデバッグ技術とは|株式会社モス 代表取締役社長 石井 孝幸 様 インタビュー

株式会社モス
代表取締役社長 石井 孝幸 様

効率向上やコスト削減を縁の下で支える会社

株式会社モスは、工場で使用される自動化装置や検査装置をオーダーメイドで設計・製作している会社です。これまで人が手作業で行っていた組立工程を自動化する装置や、目視で行っていた検査をカメラによって自動で行う装置など、人の手に頼っていた工程を自動化する仕組みを提供しています。

こうした装置を通じて、お客さまの生産効率向上や生産コスト削減を縁の下から支えるのが私たちの役割です。

令和7年度の静岡市中小企業技術表彰を受賞したのは「3D シミュレータを用いたバーチャルデバッグ技術 スマートデバッグ™」というものです。デバッグとは、不具合の原因を見つけて直す作業のことを指します。この作業をバーチャル上で行うのが私たちの開発した応用技術です。

この技術の利便性を知っていただくために、まずは私たちが普段行っている仕事の工程を知っていただく必要があると思います。

バーチャルモデル

バーチャル空間上でのデバッグを可能に

私たちのような機械メーカーが装置をつくる流れを説明すると、まず、装置の設計図をパソコン上で作成します。次に、設計図に従って各メーカーから必要な部品を取り寄せて、それを組み上げます。さらに、機械が動くようにプログラムをします。

ここで終わりではありません。オーダーメイドの装置は一台一台仕様が異なるため、ほとんどの場合は実機ができてからの調整が必要となります。

試運転で見つかった欠陥を確認し、装置を調整したりプログラムを書き直したりして、また動かしてみる……この作業がデバッグであり、装置が完全に作動するまでこれを繰り返します。こうした試行錯誤に、どうしても多くの時間がかかってしまいます。

ネックとなるのは、装置の実機が完成しないと検証ができないという点です。しかし、実機を先につくってしまうと設計ミスや仕様の抜けが見つかった際に、部品の作り直しや追加発注といったさまざまなロスが発生します。かといって、実機がないとプログラムの検証ができません。

そんな悩みを解消したいという想いから生まれたのがバーチャルデバッグ技術の「スマートデバッグ™」です。

これにより装置を組み上げる前の段階で動作を再現し、実機があるのと同じ感覚で装置の確認・検証を行えます。装置を組み上げる作業とプログラムの調整を並行して進めることができるとともに、実機完成後に起こりがちなトラブルを未然に防ぐことが可能となります。

結果、納期が短縮されてお客さまは喜びますし、私たち自身も仕事の回転を早めることができます。双方にとって価値のある仕組みです。

仮想空間で動作確認をする様子

技術者の育成に貢献

本技術の意義は、単なる業務効率化にとどまりません。エンジニア間に生じがちな認識のズレを減らしたり、技術者育成の質を高めたりすることにも貢献します。

一口にエンジニアといっても、そのスキルレベルはさまざまです。エンジニア間で想像している装置の完成図にズレがあることも少なくありません。その点で、3Dシミュレーションを用いることで、装置の構造や動きをバーチャル上で可視化し、エンジニア同士の認識を一致させることができます。

さらに、この仕組みは初級エンジニアの育成という観点でも効果を発揮します。

バーチャル空間上で装置を操作するため、どれだけミスをしても実機を破損する心配がありませんし、過去のデータを活用して同じ条件で再度シミュレーションすることも可能です。こうした環境が整うことで、若手エンジニアの成長スピードを高められるはずです。

現在はこの仕組みを活用した教育用ソフトのパッケージ化についても検討を進めています。まだ模索段階ではありますが、最適なツール構成や導入のハードルをいかに下げるかといった点を意識しながら準備を進めているところです。

将来的には、業界全体や技術者の育成機関などでも活用してもらえるような形に発展させていきたいです。

業界全体の底上げを目指す

考え方に賛同してくれる企業の方がいらっしゃれば、積極的に協業していきたいです。そうした取り組みを積み重ねることで、最終的には業界全体の底上げに貢献できればという思いがあります。

当社のミッションは「一流の人財を育て、社会に誇れる価値を提供する」です。今回取り組んでいるバーチャルデバッグ技術も、まさにこのミッションにつながるものだと考えています。

人口減少が進む日本では、今後ますます自動化の技術の重要性が増していくでしょう。そういう意味でも、我々の業界はまさに最先端の領域にあります。ITのように華やかに見える業界ではないかもしれませんが、社会を支える基盤としてなくてはならない存在です。

機械メーカーはスマートでかっこいい仕事なんだ——私たちは、そんなプライドを持って日々仕事に向き合っています。

私たちの仕事に向いているのは「モノづくりが好き!」という一点につきます。とくにデザインするだけでなく、自分が考えたものが形になり、実際に動くところを見てみたいという人には、ぜひ当社に来てほしいです。

仕事を楽しみながら技術を磨き、一緒に業界を盛り上げていきましょう。

※本記事の内容は2025年11月時点の情報です。

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