2023.04.12

資本主義から志本主義へ | 静岡鉄道株式会社 川井敏行社長インタビュー

取り返しのつかない失敗した時、高い壁にぶつかった時、頭の片隅で「どうにかしてこれを笑い話にできないかな」と考えています。

——そう楽しそうに語るのは静岡鉄道株式会社の川井社長です。

同社は鉄道に始まり、バス、不動産、ホテル、スーパーマーケット、カーディーラーなど、静岡県を中心に広く事業を展開している老舗企業です。

静岡みんなの広報は、川井社長から人材育成に力を入れている理由一緒に働いて楽しい人の人物像を伺いました。

▼前回(第二弾)の記事はこちら▼

台風災害からの復旧に秘められた静鉄の文化 | 静岡鉄道株式会社 川井敏行社長インタビュ

▼前々回(第一弾)の記事はこちら▼

ソーシャルグッドカンパニーを目指して | 静岡鉄道株式会社 川井敏行社長インタビュー

課題を解決するのは「人の力」

社会課題もそうですが、経営における課題というのもたくさんあります。資産課題、環境課題、石油価格高騰からくる課題など、一つひとつ挙げていったらキリがありません。

それぞれ対処法も全然違うと思いますが、突き詰めていけば、すべてを解決できるのは「人の力」ではないでしょうか。これからは物への投資ではなく、人材への投資を最優先にやらなければいけないと、私は考えています。

静鉄グループでも、かなり大きな予算をかけて人材の育成を進めていきます。

ここで言う「人材への投資」とは、一般的な意味での社員研修だけではなく、出向という形で社員に他社で働いてもらって、社内では学べない知識やスキルを吸収してもらったり、人的なネットワークを広げてもらったりといった成長の後押しも含まれます。

副業解禁も経験を増やしてもらうための一手段だと考えます。

またそれ以外にも、今まで交流のなかった企業と合同で社会課題に対する解決策、ソリューションを提案しあう勉強会などもやらせてもらっています。

やっぱり会社って、社員の器以上には成長しないと思うんですよ。

会社をつくっているのは人ですから、そこにいる人、社員の器を広げていくことで企業のパフォーマンスは上がっていくのだと思います。

こんな人と一緒にいると楽しい!

「こんな人と働きたい」というよりも、私の経験上、「こんな人と一緒にいると楽しいぞ」という人の人物像をお伝えします。

一つ目は、決断できる人。

会社に入った後は、それぞれの場でいろんな決断をしなければいけません。どの企画を採用するかとか、どんな商品をお客さまに提案するかとか、置かれてる立場や権限によって決断の内容は変わりますが、そういった無数の決断によって成り立っているのが会社の活動です。

そんな大切な決断を「みんながAだというから自分もAにします」なんて、安易に決めてしまうのはよくない。誰かの意見を鵜呑みにするばかりではなく、自分なりに物事を捉え、自分なりの答えを出すということを、日頃からやっていてほしいと思います。

二つ目は、好き嫌いをつくらない人。

好き嫌いのない人は、人から嫌われないんですよ。人に嫌われなければ、とても幸せに生きられる。人は誰だって他者から嫌われたくないんですよね。私だって人に嫌われたくない(笑)

でも、好き嫌いをつくると簡単に嫌われます。「○○が嫌いだ」という人は、○○を好きな人から嫌われますし、たとえそれを口に出さずとも雰囲気で伝わってしまいます。

反対に、何事もおおらかに受け入れる人の周りには自然と人が集まってきます。好き嫌いをしないのは人に愛される秘訣かもしれません。

三つ目は、なんでも笑い話に変えられる人。

最近、『僕の心臓は右にある』という本を読みました。著者はチャンス大城さんというお笑い芸人の方です。

チャンス大城さんは、生まれつき心臓が右にあるという珍しい体質をしています。また、家庭もものすごく貧しくて、いろんなものが世間からずれているんです。

普通に考えればただただ悲しい境遇なのに、彼の目から見るとすべての出来事が笑い話に変わってしまいます。

どんな時でも見方によっては怒れるし、泣けるし、笑えます。怒るより泣くより、笑えたほうがいいじゃないですか。チャンス大城さんみたいに、すべてを笑い話にして生きていたら本当に幸せですし、こんな人たちばかり集まったら、きっと会社も楽しくなるでしょう。

一つの感情、一つの側面にばかりとらわれてしまうのは、もったいないです

私も過去に、取り返しのつかない失敗をしたり、どうしようもなく高い壁にぶつかったりしてきました。そんな時、「もうダメだ……」と途方に暮れるのではなく、頭の片隅で「どうにかしてこれを後に語れる笑い話にできないかな」と考えるようにしてきました。

そうやって考えると、仕事はいくらでもおもしろくなります。入り口を変えるだけでつまらなそうな仕事も楽しくできるし、逆に、おもしろい仕事でも入り口を間違えるとつまらなくなってしまう

たとえば、一日一個スベらない話を探すだけでも、だいぶ見える景色が変わってくるんじゃないでしょうか。

笑い話をたくさんつくるコツというのもあります。

好奇心旺盛に、何事にもチャレンジすることです。チャレンジが多いと、当然失敗も増えますが、それを片っ端から笑い話にしてしまえばいいわけです。とにかく好奇心旺盛に行動していると、自然とサプライズに恵まれると思います。

資本主義から志本主義へ

資本主義という言葉、ありますよね。資本主義の「シ」は資源の「資」と書きますけど、これからは「志」を中心とした「志本主義」がスタンダードになっていくのではないかと、私は思っています。

志——つまり理念やビジョンといった、目には見えない部分に強く共鳴した人たちが集まって企業や地域を動かしていく社会がこれからやってくる。

だからこそ、みなさんが就職や転職を考える時、その会社の文化が自分にあっているかを慎重に見ていただきたいです。

「日本の文化」とか「イギリスの文化」と同じように、設立からどんなに短い会社にも必ず「文化」がある。それは空気感や習慣化している行事などからも匂ってくるはずです。

私たちが就職活動をしていた頃に比べて、今は情報量が爆発的に増えました。

どこかの会社に就職しようと思ったら、スマホ一台でその会社についていくらでも調べることができます。

今の時代、知名度や給料で会社を選ぶより、会社が何を達成しようとしてるのか、事業を通じて社会に何をもたらそうとしているのかを見極めていくほうが幸せになれると思います。

そうやって探してみると、静岡にも素晴らしい理念を掲げている会社がたくさんありますし、おもしろい取り組みをしているベンチャーや中小企業はいくらでもあります。静岡にいて選べない職種だってほとんどありません。

たとえば、この静岡みんなの広報さんを読んでみるでもいいですし、企業のSNSを覗いてみるでもいいです。自分の志にしっくりくる企業を宝探し感覚で探してみると、就職活動も楽しくなるのではないでしょうか。

▶︎静鉄グループの採用サイトはこちら

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