2024.04.05
パーパスに込められた想い | 株式会社元気広場 取締役 竹内陽さんインタビュー
高齢化の進む日本では、身体能力の衰えや突然の病気により、お風呂や料理、部屋の片付けといった日常生活の何気ない動作に制限を受けている方も増えてきています。
日常生活の不自由は本人だけでなく、それを支える家族にも影響を与えることから、社会問題として顕在化してきています。
一方で、慢性的な人材不足に悩まされている介護業界。
厚生労働省によると2025年には38万人もの人材不足が予測されています。すでに多くの介護事業所で人手不足が深刻化し、サービスの質低下や利用希望者の待機問題などが懸念されています。
そんな中にありながら、静岡を中心にサービスを拡大しているのが株式会社元気広場です。
今まで当たり前にできていたことができなくなることは、自分らしさを失うような悲しみがあります。そこで同社は、利用される方の生活機能を改善し、自分らしい生活を過ごすための支援を行っています。
静岡みんなの広報は、元気広場取締役の竹内陽さんに、現場に対する考え方や新たなパーパスに込められた想いを伺いました。
全ての人の”自分らしく輝き続ける”を創る
経営と社会貢献の両立という考えは、とても大切にしています。
福祉というと、「社会のため」というイメージが強いですが、その下には働いているスタッフたちの生活もあるわけです。
スタッフたちに余裕がなければ福祉を支えられませんし、そのためには会社として、一定以上の収益を上げなければいけません。
ここまで安定して事業を続けられたのも、数字への意識があったからだと思っています。
しかし今は、やりがいや働き方に重点を置いて、スタッフ一人ひとりを大切にするスタイルにシフトしてきました。
あるとき気づきました。スタッフの笑顔、お客さまの笑顔を突き詰めていけば、それが巡り巡って売り上げにつながっていくのだと。
スタッフたちに納得して働いてもらいたいと、つねづね思っています。上層部が押しつける価値観ではなく、現場のスタッフが考え、感じたことを優先したいです。
私自身、過去に会社員として働いていたころ、苦しい仕事や過酷な残業もたくさん経験しました。でも、自分の意志で決めて、納得して仕事をしていたから乗り越えられたのだと思います。「なんでこんなことしなきゃいけないの?」と思って働いていたら耐えられなかったはずです。
だから、納得しながら働いてほしい。経営側の意見を押しつけることで生じるストレスは、できるだけ減らしたいです。注意したり、軌道修正しなければいけないときも、理由や目的をしっかり伝え、理解してもらうことを意識しています。
お客さまの自立支援はもちろん、お客さまのご家族、スタッフやその家族も、元気広場に関わるすべての人が自分らしく輝けるようにしたい。
そんな想いのもと、今年制定したばかりのパーパスはこちらです。
この言葉には、経営陣を奮い立たせる意味もあると思っています。素敵なスタッフが揃っているし、目標を言っても頑張ってくれる施設長がいる。さらにパーパスを体現できていけば、より良い会社になっていくはずです。
静岡で一番働きたい介護施設になる
残念ながら、介護職に対する世間のイメージはあまりよくありません。
世の中に必要不可欠な仕事でありながら、給料が安いとか、仕事がきついといった、肉体的・精神的な環境の悪さをよく耳にします。
業界全体で改善していかないといけない部分もあるものの、イメージ向上のためには働きたいと思える環境を整えていくしかありません。
ですから、まずは私たち元気広場のスタッフが、いきいきと働けるような職場をつくっていきたいと考えています。弊社の中期目標は「静岡で一番働きたい介護施設になる」です。
変えたいのは労働環境だけではありません。
利用される方々にとっても、介護にはマイナスなイメージがつきまといます。たとえば、デイサービスといえば「しかたなく行く場所」の印象が根強く残っています。
本人も行きたくなければ、ご家族も必要があって預ける。そんなマイナスイメージを払拭し、本人が望んで行きたくなる場所を元気広場は目指しています。
「お客さまが楽しむ」が最初にあって、次にくるのは「自己実現のサポート」です。
うちはお客さまの目標に重点を置いています。つまり介護ケアをするというよりも、「また、あれがしたい、これがしたい」を叶えるスタンスです。
たとえば、リハビリをして家族と旅行に行きたいとか、また趣味の庭いじりができるようになりたいなど、通われている方々の「できる」を私たちがサポートします。
楽しく通いながら生活機能を改善し、それを見た家族も、習い事に通うのを送り出すような気持ちでプラスになる。そんな好循環をつくり出していきたいです。
現場を理解するために
来ていただければわかると思いますが、元気広場は笑顔が多い施設です。お客さまもそうですし、働くスタッフも笑顔。
もちろん人員不足で大変な時期もあります。その中でも、弊社の理念や仕事への誇りを持って働いてくれているスタッフが多いからでしょうか、笑顔の絶えない施設になったのだと思います。
弊社はスタッフに恵まれてると思っています。そのスタッフたちを引き立てるのが私たち経営陣の仕事です。
やりたいこと、課題も山積していますが、まずは現場スタッフの気持ちを理解することが最優先です。現場の気持ちを知らないと、会社本位の意見を押しつけるようなことになりかねないですし、良いアイデアも出ません。
現場を理解するために私は、実際にお客さまとお話ししたり、スタッフとして働くようなこともしばしばやっています。現場に入ったら自分は教えてもらう立場です。職位の上下とか関係なく、一スタッフとして接することを心がけています。
よく経営陣が現場を回ることもしていますが、そういうときに、「上の人たちが来た」ではなく、「理解者が来てくれた」と思ってもらえるようになりたいです。
そういう中で見せられる背中もあるのではないかと考えます。
自己実現をサポートするデイサービス
元気広場のある施設に行ったときのことです。
はじめて元気広場を利用される車いすのお客さまがいらっしゃいました。
その方の話によると、お家では車椅子ではなく、軽度な障がいのある方が使う歩行器を使っているとのことでした。車いすは他の施設の方から「歩くのは危ないから」と勧められたらしいのですが、ご本人は「自分の脚で歩きたい」という気持ちがあるようでした。
車いすを使うのも、一概に悪いこととは言えません。しかし、車いすがなくても生活できる方が使用に慣れてしまうと、生活の幅が狭まってしまいます。また、身体機能の悪化につながることもあるため、可能な限り自分の脚で歩いてほしいと考えました。
そこで弊社の理学療法士は、すぐにお客さまの歩行を観察、評価を行い、歩行器を使って安全に歩くためのリハビリトレーニングを計画しました。
お客さまの自立や生活向上を真剣に考えている理学療法士の姿に、自分は心を打たれました。まさに元気広場の目指している姿だと改めて実感しました。
元気広場では、このような事例がたくさんあります。日々スタッフが、一人ひとりのお客さまの課題に向き合い、対応しています。
私の仕事は、このようなスタッフたちに、少しでも働きやすい職場を提供していくことだと考えています。
スタッフの意欲に合わせて成長する会社でありたい
昨年からはデイサービス以外にも、定期巡回の訪問介護サービス「元気ケア24」も始めました。
こちらは、24時間365日体制で在宅生活を支えるサービスです。一般的には一日一回の訪問が多い中、弊社のサービスは一日に複数回の訪問と緊急訪問で、自宅に介護スタッフがいるような安心感を目指しています。
少し前まではデイサービスを中心に全国展開を考えていましたが、今はむしろ、静岡でいろいろな事業をやっていきたいと考えるようになりました。
エリアが全国に広がるとコミュニケーションが取りづらくなって、理念の共有が難しくなってしまうと考えてたからです。
会社として売り上げを伸ばしたいというのはありますが、サービスの質やスタッフの想いを犠牲にするわけにはいきません。だったらエリアを静岡に限定して、既存のスタッフの成長やキャリアアップを目指していきたいです。
会社都合で強引に推し進めるのではなく、スタッフの成長意欲に合わせて事業も成長していくのが理想だと考えます。たとえば、「施設長をやりたい」や「管理者をやりたい」みたいな、キャリアアップを望む社員には積極的に任せていきたいです。
必要不可欠な知識を学べる場
高齢者や介護が必要な方は、2040年ごろまで増え続けるとの予測が出ています。
私が考えるに、今後「高齢者」や「介護」というキーワードは、私たちのような介護事業者以外でも、いろいろなところにつながってくるのではないでしょうか。
たとえば、高齢者と目線を合わせてお話しできるとか、体が不自由な方への接し方といったノウハウは、あらゆるキャリアにおいてプラスに働くと考えています。また、池ヶ谷施設長も言っていたように、自分自身や自分の家族が年を取ったときにも活きてきます。
介護現場は、そういった必要不可欠な知識を学べる場でもあります。
介護に少しでも興味を持ってくださった方、私たちの理念に共感していただける方がいらっしゃいましたら、ぜひ一緒に働きましょう!
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