2023.07.19

静岡特化型移住転職エージェントの描く未来 | 株式会社TurnX酒井社長インタビュー

2007年から続く人口減少に歯止めのかからない静岡県。今年5月の調べでも、4月と比べて人口が792人減り、11カ月連続の減少となりました。

しかし、「静岡には魅力がないのか?」と問われれば、もちろん、そんなことはありません。ふるさと回帰支援センターのアンケートによると、静岡県は、移住希望地ランキングで3年連続1位に選ばれています。(※2023年6月現在)

静岡が多くの人々にとって理想のまちであることはたしかですが、理想と現実の間に見えない壁があることも事実です。

そんな静岡に移住転職のムーブメントを起こすべく立ち上がったのが、今回取材させていただいた株式会社TurnX(ターンエックス)です。

(取材先)株式会社TurnX(ターンエックス)【公式ホームページ】

静岡みんなの広報は、同社の酒井優一社長に移住転職への取り組みについて伺いました。

さらに、静岡での雇用を増やすために活動している弊社代表の河原崎と、若者が静岡を離れていってしまう理由企業と行政が一丸となる方法について対談を行いました。

第一弾は弊社広報から酒井社長へのインタビューです。

静岡での転職と静岡への移住を同時に支援

——あらためて、TurnXさんの事業についてお伺いできますか?

弊社は静岡特化型移住転職エージェントとして、静岡に移住を希望されてる方の移住支援、転職支援をしている会社です。

移住と転職を同時にフォローできるのがTurnXの特徴であり、「静岡へ想いがある人のキャリアのかかりつけ医」でありたいと私たちは思っています。

大学進学で県外に引っ越したり、転職で職場や仕事内容を変えたりする経験を、多くの方々が人生で一度は経験している思います。しかし、移住と転職を“同時に”する経験はなかなかありませんよね

弊社のサービス利用者でいえば、今のところ100パーセントの方々が初めてとおっしゃっています。

「県外に転職する」と一言で言っても、仕事をしながら就職先を探して、住む場所を決めて、もろもろの手続きをして……というように移住か転職、どちらか一つをするより格段に負担が大きくなります。そもそもどのように、何から手をつけていいのかもわかりにくいです。

なので、まずはそういった転職・移住のスケジュールも合わせて支援させていただきます。

——引っ越し準備だけでも一苦労なのに、それに仕事探しが重なったら……やることが多くてスケジュールを立てるのは難しそう。頭を悩ます部分を手伝っていただけるのは助かりますね。

求められるのは仕事内容だけではない

——静岡特化型移住転職エージェントとしての御社の強みを教えていただけますか?

求職者さまを“仕立てる”。そして、企業さまも“仕立てる”、ということに私たちは重きをおいています。

——“仕立てる”とはどのようなことですか?

まず、「求職者さまを“仕立てる”」とは、利用される方々の移住・転職の意図やビジョンを明確化することを指します。具体的には、ただ希望を聞いて条件に合う企業さまを紹介するだけではなく、「自己分析」を徹底的に行います。

なぜ移住したいのか?
どんな価値観を持っているのか?
どんなカルチャーや環境が合うのか?
移住して、どんな生活を送りたいのか?
そして、どうなれたら幸せなのか?

このような質問を通じて、求職者さまの過去と未来について深掘りをし、転職軸・移住軸を言語化していきます

その上で初めて、転職軸に沿う求人をご紹介するとともに、職務経歴書の添削と面接対策を行います。同時に、移住軸に沿って「静岡県のどのエリアに住むと良いのか?」といったアドバイスもしていきます。

——利用される方々が何を求めているかを明確にすることで、より希望に沿った会社選び、居住エリア選びができるということですね。

その通りです。

続いて、「企業さまを“仕立てる”」について。企業さまにおいては、たとえ採用要件に合った求職者さまがいたとしても、その方々から応募をしてもらわないことには話が前に進みません。

つまり、求職者さまに企業求人をご提案した際に、「話を聞いてみたい」と思っていただけるように企業さまを“仕立てる”のです。

正直なところ、求人票やコーポレートサイトを見たところで、魅力的に思える企業さまが少ないことが実情です。もちろん、詳しく話を聞けば魅力的な企業さまはたくさんありますが……。

そのため、企業さまの求人票を修正したり、会社紹介資料を一緒に作成したり、時には採用サイトを改修をするなどして、企業さまがより魅力的に見えるような施策をご提案しています。

——利用される個人の方々だけではなく、登録されている企業においても、「魅力的」と思ってもらうためのサポートをされているわけですね。

私たちは、求職者さまと企業さま、双方にとってミスマッチをなくしていきたいと考えています。そのために、求職者さまが求める転職先や企業さまが採用したい求職者に出会える率を最大化できるよう、顧客視点に立った支援をしています。

ここまでやっている転職エージェントは、静岡県内には弊社以外にないと自信を持って言えます。

何を求めて静岡に移住するのか?

——御社のサービス利用者の方々は、静岡にどのようなことを求めて移住をしてくるのでしょうか? なぜ「静岡」なのでしょうか?

何を軸に据えるかで変わるので一概には言えませんが、「生活の豊かさ」を求めて静岡に移住される方は多いと思います。

静岡は田舎すぎず、都会すぎもせず、とてもバランスが良いと考えています。自然が豊かで、ちょっと行けば海も山もあるし、見上げれば富士山もありますよね。

山奥に住んだら多少移動に困ることもありますが、都内のような通勤ラッシュや過度な混雑もありません。それでいて駅周辺なら大抵のものは手に入りますし、東京にもすぐにアクセスできます。

また、弊社のサービス利用者にはご結婚されて、お子さまがいらっしゃる方も多いです。そういった方々には、公園が近い、買い物が便利といった労働環境以外の面も移住の基準になりますね。

静岡の自然の豊かさ、日常生活で感じる便利さは、「子育てのしやすさ」にも繋がると考えています。

▶︎TurnXさんの公式noteで移住された方々のリアルな声が聞けます

——酒井社長は静岡出身で、東京から静岡にUターンしてきたと伺いました。都会から移住してきて、大変だな、不便だなと思ったことがあればお聞かせいただきたいです。

なにかあるかな……。私は静岡出身なので、「故郷に戻ってきたな」って感じで、それほど大変と感じたことはありませんね。

ただ、私と一緒に移住してきた家族は違います。妻や子どもたちにとって、静岡は見知らぬ土地です。何度か来たことはあっても、やはり、住むとなるとまったく別の話ですよね。

知り合いもいない、馴染みの店もない。近くのコンビニやスーパーの場所も知らない。そんな不慣れな土地で暮らすのはストレスも多いと思います。

たとえば、子どもが怪我をしたり熱を出した時、どこの病院を受診すればいいかわからないし、「ここの先生が親切だよ」みたいに教えてくれる人もいないわけです。不安ですよね。実際、私の家族も新しい生活に慣れるまでは時間がかかったと思います。

そういった家族の心のケアにはとくに気を使いました。

——そうですね。近所で買い物ができる場所も新しく開拓していかないといけないですよね。日々の生活を続けつつ、もともと住んでいた場所と同じくらいまでの水準に生活スタイルを戻すのは大変そう……。

そういった身の回りの情報を共有できるコミュニティみたいなものも、いずれつくっていきたいと考えています。

▶︎酒井社長が静岡に移住した理由はこちら

採用におけるミスマッチの問題

——酒井社長は以前、東京でも人材に関わる仕事をされていたと伺いました。静岡と東京では、採用や転職といった部分で違いがあるのでしょうか?

ええ、全然違いますね。前提として、東京も静岡も人材不足に困ってるってところは同じですが、困りごとの性質が違います

まず東京でいうと、いろいろな母数が多い。

社員を探している企業も多い分、仕事を探している人の数も静岡より圧倒的に多いです。ただ、似通った業種やサービスもたくさんあるので、採用が競争化して、欲しい人材を確保するのに苦労しています。

一方静岡は、同じサービスを提供している会社はそれほど多くありません。そういう意味で、企業同士の競争は起きにくいですが、そもそも職を探している人の数も東京と比べて少ない。お金をかけて採用の広告を出しても、そもそも見てくれる人が少ないんです

▶︎都内と静岡における採用の違いについてはこちら

仕事を探している人、社員を探している企業が少ないゆえに起きるのが「ミスマッチの問題」です。

——「ミスマッチの問題」とはどのようなものでしょうか?

たとえば、企業側からしてみれば、求める人材と就職を希望した人に多少のズレがあっても、人手不足から採用を急いでしまうケースがあります

個人にとっては内定が出て嬉しいかもしれませんが、結果的に不満を抱えたまま働いたり、「仕事が合っていなかった」と辞めてしまうことに繋がります。採用する側も、される側も、誰も得しません。

ところが、人や企業の母数が少ない静岡では、このようなミスマッチが往々にして起きているんです。

静岡の企業は採用慣れもしていないこともあり、選考で何を見極めるか、自分たちがどんな人材を求めているかが固まっていないこともあります。面接官の間で価値観を共有できていないのも問題です。

ミスマッチが起きると、企業としてはコストをかけて採用したのに退職者が増えてしまうことになるし、移住してきた方々も「静岡で入社した会社が違った。やっぱ東京に戻ろう」というふうになってしまうじゃないですか。

私たちとしては、静岡で楽しく働いてほしいですし、ずっと静岡に住み続けてほしいわけです。

そのためにも、時には企業側に入り込み、人事・採用コンサルティングとして関わっていることもありますし、会社によっては私が人事顧問のような形で参加し、採用環境を一からつくっているところもあります。

本当の意味でマッチする会社に入社してもらえるよう、TurnXはこれからも健全な採用の環境づくりを進めていきたいと考えています。

静岡への移住転職ムーブメントをつくる

——酒井社長が静岡に来られる方々を大切にしているのが伝わってきました。ありがとうございます。最後に、TurnXの今後の展望や抱負をお聞かせください。

弊社のミッションは〈静岡への移住転職ムーブメントをつくる。〉です。

ビジネスとすれば人と企業をマッチングさせて、それで一旦解決なのですが、その「点」だけで終わらせることは私たちのゴールではありません。

静岡に移住された方々がその後も豊かな生活を送ってくれて、さらにはその方々が「静岡は本当にいいまちだ」と外に発信してくれることで、静岡への移住転職がムーブメントになっていくことを意識して事業を行っています

今後は、自治体や地元の企業を巻き込み、実際に移住した方々が楽しく、幸せに暮らせる静岡をつくっていければと思います。

——静岡への移住、転職を少しでもお考えの方がいらっしゃいましたら、ぜひTurnXさんにお声掛けください!

noteの更新情報や静岡の素敵な取り組みについて発信します!
運営企業:株式会社LEAPH

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