Column
取材班コラム
2024.02.27
文章が書けないのは○○が原因 〜ネタはこうやって見つける!〜
知らないことは書けない
文章を書く方、あるいは書こうとしている方が一度は陥る「書くネタがない!」についてお話しします。
その前にまず、「ハーディ・ガーディ」について考えていることを300文字程度でまとめてみてください。
……と言われても大抵の方は「?」となるだけではないでしょうか(なお、ハーディ・ガーディとは中世ヨーロッパに起源を持つ手回しヴァイオリンのことです。私も詳しくないので一文字も書けません)。
なぜ、ハーディ・ガーディについて書けないか、理由は明白。知らないし、考えたこともないからです。
知らない事柄については書けない。当たり前ですよね。
しかしながら、「文章が書けない」と悩んでいる多くの方が、同じ罠にはまっています。つまり、知らないことまで書こうとしています。
もちろん、自分の頭の中に海の水ほどのコンテンツがあれば話は別ですが、たいていの人はそうではありません。自分の知識、経験、感情は有限です。雨が降らなければ池が干上がってしまうように、水を注がなければいつか手が止まります。
書くためにはインプットから始めよ!
ライティングの鉄則です。
ベテランの小説家も、新しい分野の物語を書くために、文献をあたったり、専門家から話を聞いて情報を収集するところから始めます。無から有が生まれないように、すべての文章は調べること、取材するところからスタートします。
「いや、そこまでは頑張れないかも……」と思った方。安心してください。もっと手軽でカジュアルなインプットで大丈夫です。目的を絞り、ターゲットを減らすことで素早くネタが生成できます。
今回は文章を書く時に役立つインプットのコツをお教えします。
キーワードは3つ、比較・流行・引用です。
3つのキーワード
比較
読んで字のごとく、比べます。何を比べるかと言えば、書きたい対象とそれ以外です。
たとえば、「最近、野菜の値段が高くなっている気がする」という切り口から文章を書こうと思ったとき、実際に1年前、10年前の野菜の値段を調べてみて、今と比較してみます。
そこから「どうして値上がりしているのか?」とか、「他の食品の値段はどうだろう?」と思考を深めていくことができます。
数字は比べやすく、かつ説得力のある材料になりますので積極的に使ってください。
流行
流行はネタの宝庫です。どんどん利用しましょう。
たとえば昨今、ChatGPTのような生成AIが話題となっています。これをネタにするのなら、「そもそも生成AIとは? 何ができるの?」から、「自分の仕事に活かせないだろうか?」というルートで話を広げられます。
流行り物に対する主観的な感情を入り口にしてもいいでしょう。流行っているものを好きと感じるか、嫌いと感じるかから入り、「なぜ、好き(嫌い)と感じるのか?」を客観的に書いていきます。
新聞やニュース、SNSに流れてきた話題は新鮮なうちに調理しましょう。
引用
手っ取り早く“それっぽい”文章を書くには引用が役に立ちます。
〈インプットがないのに、アウトプットは出来ません。〉と、700タイトル以上の漫画を世に送り出した天才漫画家手塚治虫も言っているように、何かを生み出すためには勉強が欠かせない。
のように、書こうと思っている事柄についての名言ないし、書籍の文章を引用することで、文章にボリュームと威厳をつけることができます。虎の威はどんどん借りましょう(なお上記の名言は〈インプット〉〈名言〉で適当に検索をかけたら見つかった言葉です)。
必ずしも引用元の発言と自分の意見が一致している必要はありません。場合によっては
「○○氏(業界の有名人)は××のように言っていますが、私の意見は真逆で——」と続けられます。
ただ注意すべきは、ネットの情報は真実ばかりではないということ。もとにする情報源は慎重に選んでください。
最後に
ネタに困ったときは、ぜひ上の3つの視点でインプットしてみてください。
大切なのは調べた事柄に対して、「なぜ、そのように思ったのか」や「なぜ、調べようと思ったのか」まで掘り下げて書くことです。
事実だけを書いても報告書になってしまいますし、感想だけを書いても説得力が出ません。客観的事実と個人の感想、二つが揃ってはじめて価値のある文章になります。